Grand パリの街並み 25年程前、建築士として初めてパリの街を訪れとき、なんて整然として美しい街並みなんだろうと心を動かされました。この美しさを保つためにパリの建物はどうように誕生したのか、とても深い好奇心に見舞われました。パリの建物の外壁にはなんと地下深くから掘り出された厚さ20cm以上ものライムストーンが使われており、10年ごとに古くなった表面をブラストし、現在でも新築の様な輝きを生むようになっていたのです。パリの住人は時代とともに移り変わりますが、街全体はいつまでも変わることなく、普遍的な美しさを何世代にもわたって継続できるようになっていたのです。パリの街は、できた時が最上ではなく、将来の姿を想像して作られたとてもスケールの大きな価値のある街でありました。 Value 正統な価値 現代社会では自ら新しい機能を付け足し、まだ使えるものを計画的に陳腐にしたり、最初から耐久性を考慮せず、使い捨てを前提とした考え方があります。一方、本当に良いモノ、価値のあるモノとは、作られた時がもっとも良い状態ではなく、将来の姿に向かった機能を内在したものが、正統なモノだと気がつかされたのです。モノの価値とは、時代や流行に左右されず、よりシンプルで飾り気はないが、普遍的な美しさを保つものであり、良いモノとは、素材自体が劣化せず、丈夫で、壊れた場合でも、容易にメンテナンスできるものだということを。 Product モノづくりの柱 「良いモノを長く使い続けられるように」をモノづくりの柱とし、デザイン・機能・仕様・素材・加工の選定に奔走してまいりました。とは言え、モノづくりは理念だけで出来上がるものではありません。製造する技術や職人技も必要です。運良く、わたしの周りには技術力の高い熟練職人が多く健在しており、見えない所にもこだわりを持ったモノづくりを、日本で成し遂げることができました。お持ちの機械式時計も、多くの歴史を積み重ね、職人たちが時をかけて作り上げた、とても大切な宝物でもあります。時間を惜しまず、一つずつ作られた機械式時計は、時を知らせる役割を超えた美しい美術品でもあります。わたし自身もずっと以前から機械式時計に魅せられた一人であり、時計愛好家でもあります。あなたの思い出や出来事、職人たちの思いが込められた大切な機械式時計を、いつまでも安全に持ち続けていただくために、ワインディングマシーンの抱える問題や使命の全てを考え抜き、磨き上げ、カタチにさせていただきました。きっとあなたの大切な時計のグットパートナーとなることを信じています。 あなたの時計と共に、末長く大切に使って頂ければ幸せです。 TETSU YOSHIMATSU